塩こうじは米こうじ・塩・水だけで作れる発酵調味料で、お肉やお魚を柔らかくしたり、うま味を引き出したりする効果があります。市販品も便利ですが、自家製なら市販品に比べリーズナブルに済み、添加物も気にならず、より風味豊かな塩こうじが楽しめます。
今回は「常温での作り方」と「保温調理鍋などで保温する作り方」の両方をご紹介し、それぞれのメリット・デメリットも解説します。ぜひ最後まで読んで、ご家庭に合った作り方を見つけてください。
基本の材料と道具
塩こうじの基本の材料
塩こうじを作るための基本的な材料と配合比は以下の通りです。
- 米こうじ:100g
- 塩:30g(米こうじの30%)
- 水:100~150ml
この配合で作ると塩分濃度10.7〜13%の塩こうじができあがります。
準備する道具
塩こうじ作りに必要な道具は以下の通りです。
- 保存容器:ガラス製の密閉容器が理想的(プラスチック製も可)
- 計量器具:キッチンスケール
- 混ぜる道具:清潔なゴムベラやスプーン
- その他:清潔なふきん、アルコール消毒液(容器の消毒用)
容器や混ぜる道具は、使用前に熱湯消毒やアルコール消毒をして、雑菌の繁殖を防ぎましょう。
常温での塩こうじの作り方
前準備
・容器の準備:保存容器・スプーンなどを熱湯やアルコールで消毒し、完全に乾かします。
塩こうじ作りの手順
- 米こうじを、なるべく一粒ずつになるくらいまで細かくほぐしながら保存容器に入れます。
- 1.に塩を加え、よく混ぜます。
- 2.に水を加え、よく混ぜます。
- 容器に軽くフタをのせ、1時間ほど常温の暗所で保存します。
- よくかき混ぜ、米こうじがかくれるくらいまで水を足します。
- フタをして冷暗所に保存し、1〜2日に1回よくかき混ぜます。
市販の米こうじを使う場合は、袋のままほぐすと散らばらないので便利です。
手順5のときに、米こうじがかくれるくらいの水分が残っている場合は、水を足す必要はありません。ただし、水分が足りないと表面が黒ずんでしまうこともあるので要注意です。
かき混ぜるタイミングは、仕込んで初日から3日目あたりまでは1日1回、4日目以降は2日に1回程度でOKです。
季節ごとの発酵の目安時間
常温での発酵期間は季節によって大きく異なります。
- 夏季: 約14日
- 冬季: 約30日
ただし、置き場所や材料によっても発酵のスピードは異なるため、あくまでも参考として捉えてください。出来上がりの判断方法については後ほど紹介します。
完成の見分け方
以下の特徴が見られたら完成のサインです。
- とろみがついている:水分がこうじに吸収され、全体にとろみが出ている
- 甘い香り:芳醇な甘い香りがする
- 塩辛さが和らぐ:塩辛さが和らぎ、まろやかな味わいになる
- 米粒が柔らかい:米粒が指で簡単につぶせるくらい柔らかくなる
完成したら冷蔵庫に移して保存しましょう。
保温する塩こうじの作り方
保温調理鍋や炊飯器などで保温し、短時間で塩こうじを作る方法です。
いずれの場合も材料は常温で作る場合と一緒です。
保温調理鍋を使った作り方
- 食品用保存袋に米こうじを入れ、よくほぐします。
- 1.に塩と水を加え、よく揉んで混ぜます。
- 保温鍋に60〜65℃のお湯を用意します。
- 2.の保存袋の口をしっかりと閉め、3.に入れて保温を開始します。
- 2時間おきくらいにお湯の温度をチェックし、温度が下がっている場合はお湯を温めます。また
- 同じタイミングで袋を揉み、中身を混ぜます。
- 6~8時間保温し、袋の上から触って米こうじの芯が無くなったら完成です。
炊飯器を使った作り方①
- 食品用保存袋に米こうじを入れ、よくほぐします。
- 1.に塩と水を加え、よく揉んで混ぜます。
- 炊飯釜に60℃のお湯を用意します。
- 2.の保存袋の口をしっかりと閉め、3.に入れて保温を開始します。この際、フタは完全に閉めず
- マスキングテープなどで少し開いた状態をキープします。
- 2時間おきくらいに袋を揉んで中身を混ぜます。
- 6~8時間保温し、袋の上から触って米こうじの芯が無くなったら完成です。
炊飯器を使った作り方②
- 米こうじをほぐしながら炊飯釜に入れます。
- 1.に塩と水を加え、よく混ぜます。
- 炊飯器を「保温」モードにセットします。
- フタは完全に閉めず、マスキングテープなどで少し開いた状態をキープします。
- 2時間ごとにかき混ぜます。
- 6時間ほど保温し、袋の上から触って米こうじの芯が無くなったら完成です。
炊飯器によっては保温温度が高くなりすぎるため、注意が必要です。
ときどき温度を測り、60℃を超える場合はフタをもう少し開いたり、一時的に保温を切るなどして、温度が上がりすぎないよう調整してください。
ホッカイロを使った作り方
平らなガラスやホーローの容器とホッカイロ、そして保冷バッグとフェイスタオルを活用する方法です。
- 米こうじをほぐしながらガラス容器に入れます。
- 1.に塩と水を加え、よく混ぜます。
- 保冷バッグの中にタオルを敷き、その上にホッカイロとガラス容器を置きます。
- 保冷バッグのなかにスキマができないようタオル等を詰めます。
- 2時間ごとにかき混ぜます。
- 6〜8時間ほど保温し、米こうじの芯が無くなったら完成です。
ヨーグルトメーカーを使った作り方
- 米こうじをほぐしながらヨーグルトメーカーの付属容器に入れます。
- 1.に塩と水を加え、よく混ぜます。
- ヨーグルトメーカーを60℃・6時間で設定し、保温を開始します。
- 2時間ごとにかき混ぜます。
- 6時間後、米こうじの芯が無くなっていたら完成です。もし芯が残っている場合は、追加で1〜2時間保温します。
温度管理のコツと注意点
いずれの保温方法も、温度管理には十分注意しましょう。
55~60℃をキープできるのが理想的です。そのため、可能であれば温度計で確認することをおすすめします。
常温と保温 それぞれのメリット・デメリット
方法 | メリット | デメリット |
常温 | ・材料費以外のコストがかからない(電気代等) ・温度管理が必要ない | ・完成までに時間がかかる ・季節によって発酵期間が変動する ・雑菌のリスクが若干高い |
保温 | ・短時間で完成する ・雑菌のリスクが比較的低い | ・電気代等のコストがかかる ・温度が上がりすぎて過発酵や酵素が失活するリスクがある |
塩こうじの保存方法
作った塩こうじは、冷蔵または冷凍して保存しましょう。
どちらの場合も約1年保存可能です。
実際は1年以上経っても食べることはできますが、その状態によるため、自己判断で。
使用時は必ず清潔なスプーンですくい、容器に雑菌が入らないよう注意して使いましょう。
冷蔵庫で保存していても、熟成はゆっくりと進むため、少しずつですが味が変わります。熟成していく味を楽しみたい人は冷蔵庫へ、できたてのフレッシュな味をキープしたい場合は冷凍庫での保存がおすすめです。
また、塩分濃度を高めて作ることで、常温保存できる塩麹を作ることも可能です。
※常温保存用塩こうじの詳しいレシピと使い方の注意点については、近日中に別記事をアップする予定です。
塩こうじの活用例
塩こうじは、塩の代用として使えます。目安としては、レシピに「塩小さじ1」とあった場合、塩こうじ小さじ2で代用できます。塩小さじ1の塩分量が5~6gに対して、塩こうじ小さじ2の塩分量は1.8gほど。同じくらいの塩味を感じられてうまみなどもあるため、減塩にも役立つでしょう。
また、塩こうじは様々な料理に活用できます。
- 肉・魚の下味つけ
- 野菜の浅漬けやピクルス
- 炒め物やスープの味付け
- ドレッシングやディップソース などなど
詳しいレシピは順次追加していくのでお楽しみに。
自家製塩こうじで料理上手に
自家製塩こうじは市販品より経済的で、添加物も気にならず、何より自分好みの味に調整できるのが魅力です。
道具や容器の清潔さを保てば、あまり失敗することもない発酵調味料なので、発酵食品を手作りしてみたい!という人の最初の一歩としてもおすすめです。手作り塩こうじで料理の味がグンとアップします。ぜひ、この記事を参考に自家製塩こうじ作りにチャレンジしてみてください!